押し花の飾り方と長期保存のコツについて

美しく愛らしい押し花が完成したら、ぜひとも部屋に飾って楽しみたいものです。

額に入れて飾るほかに、レジンやシールを使って小物に貼り付けて楽しむ方法があります。和紙をかぶせるように用い、押し花を透かして眺めるのも風情があってオススメです。また最近では、専用の樹脂を使って、キーホルダーやアクセサリーを作って楽しむのも人気があります。

さまざまな方法がありますが、押し花はデリケートでたいへんにこわれやすいものですから、飾る際には、衝撃から守る工夫が必要です。いずれの場合も、コーティングをしないむき出しの状態は避けるようにしましょう。

また、押し花を長く飾って楽しむために大切な注意がもう一つあります。

押し花は決して無機物になったわけではありません。生物が生きていくのに必要な「水」「酸素」「日光」に触れることで、押し花は劣化していきます。例えるなら、押し花も歳をとるのです。ですから、加工中・加工後を問わず、押し花はできるかぎり「水」「酸素」「日光」から遠ざけてやる必要があります。

額に飾る際も、空気や湿気を遮断できるような押し花専用額を使用するか、ラミネートやビニール状のものでコーティングするなど、充分な対策をした上で額に入れたほうが、より長く美しい姿を楽しむことができるでしょう。飾る際も、直射日光に当たる場所は避けた方が賢明です。

押し花の額装

押し花の額装

いかがでしたか?

暮らしに彩りを添えてくれる「押し花」。大切な思い出のお花と、少しでも長く過ごすためのステキな方法をご紹介いたしました。ぜひ、身近にあるお花を手にとって、押し花づくりを楽しんでくださいね!

バラ、カーネーション…花びらが多い花を押し花にするには?

押し花づくりを楽しむにあたって、どうしてもご紹介しておきたいのが、花びらの多い花への対応策です。

バラやカーネーション、ラナンキュラスなどは、花束などでいただく機会も多い美しい花です。ぜひ押し花にして残したいと思うもの。ですが花びらの枚数が多いために、そのまま押してもなかなか水分が抜けず、乾燥しきる前に退色してしまうこともあります。

こういった花は、思い切って花びらを1枚1枚分解してしまいましょう。

生花の段階で花びらと花芯、茎、がくなど細かいパーツごとにわけ、それぞれを別々にプレスし、乾燥させた後で組み合わせるという方法を採るのです。組み合わせる際は、糊やシール台紙などを用いて、咲いていたときの状態を再現するように組み立てながら貼り合わせていきます。これら一連の作業は、挑戦しがいのあるなかなか楽しい作業です。本当に美しい押し花を作ることができますよ。

バラの花びら

今回は花びらの多い花への対応策として「分解して押す」という方法をご紹介しました。前回ご紹介した「ナイフで削ぐ」なども含め、難しい花を加工するときには、花ごとに最適な方法を選びます。正しい方法さえわかれば、たいていの花が押し花に加工できるんです。

なお、こういった加工方法を応用すれば、なんと果物や野菜まで押すことができます。みかんやレモン、イチゴにスイカ、きゅうりにナスにオクラまで。押し花の楽しさは、お庭から台所まで、身近な場所で無限に広がっていくようです。

ひまわり、ガーベラ・・・分厚い花は押し花にできない?

押し花づくりをしていると、しばしば「ひまわりは無理でしょ?」と聞かれます。

ひまわり

ひまわりは大きくて茎も太く、何より花芯の厚みが半端ではありません。特に花芯は、最も大切な種ができる部分ですから、水分のため込み方も花びらの比ではありません。ですから多くの方が無理だとお考えになるのもよくわかります。

でも、ちょっとした工夫をすることで、ちゃんと押し花にすることができるんです。

ひまわりやガーベラといった花芯の厚い花を扱う際には、ナイフを用意します。平面状に仕上がるという押し花の特性を生かし、細工を施すのです。

平面状のものには、飾るときに見える「表側」と、決して見えない「裏側」とがあります。この裏側に当たる部分を、押す前にナイフで削いでしまいましょう。削ぐことによって押しやすくなりますし、同時に水分をため込んだ花芯部分を減らすことができますから、一石二鳥というわけです。ただし、削ぎすぎてしまうと花姿そのものが崩れてしまいますから、作業には最大限の注意が必要です。

ガーベラ

また、こうした「削ぐ」という作業は、太い茎や木の枝を押したいときにも使える便利な手法です。前述のひまわりの太い茎などは、思い切って半分にカットしてから押すようにします。さらに、茎の内側をある程度掻き出してしまえば、素早く乾燥させることができるというわけです。

飾るときには裏側が見えないという、押し花だからこそ可能な大胆な方法。裏技とも呼べそうですが、たいへん役に立つ方法ですからぜひ覚えておいてくださいね。

色鮮やかな押し花に仕上げる方法

さて、押し花作りをしていると、こんな悩みに出会うことがあります。

「せっかく色鮮やかなお花を押し花にしてみたものの、仕上がりはなんだか茶色くなってしまってがっかり……」

茶色くなってしまった押し花(押し葉)

茶色くなってしまった押し花(押し葉)

今回は、こういった押し花の退色について触れていきましょう。

生花の鮮やかな色をキープしたままで押し花加工をするには、とにかくすばやく水分を抜き切ることが最良の方法です。ですから、1週間かかって押し上げたときに茶色くなっていたようなら、次に挑戦するときには例えば5日で乾燥しきるように働きかけてやる必要があります。

具体的には、水分を吸わせるための乾燥マットや新聞紙などを頻繁に交換すること、そして、外気を遮断するためのビニール袋を、厚みのある遮断効果の高いものに替えること、などが挙げられます。他にも、アイロンなどで熱を加えたりする方法もありますが、これは花によって向き不向きがありますから難しいところです。

とにかく、手を掛けることによって、色はより鮮やかに仕上がるようになります。しかし一方で、どんなにがんばっても茶色く仕上がりやすい草花があるのも事実です。

例えば朝顔です。

朝顔

朝顔は身近にあって萎れやすく、その意味では押し花向きの花のように思えますが、仕上がりの美しさという観点から見ると、難易度の高い花です。専用の乾燥マットを使用せずに、色をキープしたまま押し上げるのは非常に難しい。

以前、朝顔の押し花加工について、乾燥マットをあえて使わず新聞紙で実験的に挑戦したことがあります。このときは挟み込む新聞紙を2~3時間ごとに新しいものに取替え、極力早く水分が抜けるようにしました。それでようやくきれいな青紫をキープできましたから、やはり難しい部類だといえるでしょう。

以上のように、できるかぎり手を掛けることで色は美しく残せますが、退色しやすい草花があるのは事実。自然のものが相手ですから難しいこともあります。ですから、ぜひいろいろな種類の草花で押し花加工してみるのをオススメします。そのうちに、押し花加工にむいたお気に入りの花に、きっと出会えることでしょう。

押し花に適した花、適さない花は?

さて、前回の記事で、押し花加工にオススメの草花をいくつかリストアップしました。実は、草花の種類によって、押し花加工がしやすいものとしにくいものとがあるんです。今回は、その特徴や見分け方を説明します。

まず、きれいな押し花を作るにはコツがあります。それは「水分を1秒でも早く抜ききること」。

草花は押し花加工の最中にも徐々に劣化していきます。水分を抜くのに時間がかかれば、その間に色は褪せ、細胞はどんどん古くなっていく。だから1秒でも早く水分を抜いてあげることが大切で、劣化する前に乾燥させてしまえばきれいな押し花が出来上がる、ということになります。

これを裏返すと、「水分が抜けやすい花」が押し花向きだということになりますね。

野の草花

例えば野の草花。幼いころの記憶にありませんか?摘んでしまうとあっという間に萎れてしまう、小さな草や花。つまりこれは、「水分が抜けやすい」ということの証です。

逆に、水分がなかなか抜けない花もあります。例えば、国花である菊の花はその筆頭だといえましょう。

菊の花

菊の花はお墓参りにも重宝される花ですが、これは、日本における国花=最高位の花であることと、水分をためる力が強く頻繁な水遣りが必要ないためだという説があります。菊は小さい花がたくさん集まって一つの花姿を形成していますが、この小さい花それぞれが水分を保つ力に長けているため、菊の水分はなかなか抜け切りません。押し花作り専用の道具が無ければ太刀打ちできない、難易度「最高クラス」の花だといえるでしょう。こういった花は、押し花にしにくい花だといえます。

つまり、「萎れやすいかどうか」が、押し花にしやすいか、あるいはしにくいかの見極めに役立つのです。お花屋さんの高級なお花より、身近な草花のほうが押し花にしやすいというのは、経済的に楽しめてうれしいものですね。

クローバー、スミレ…身近な草花で押し花に挑戦!

さて、いよいよ押し花作りに挑戦してみましょう。

押し花に加工するための草花を用意してください。はじめのうちは、道端や庭、原っぱなどに自生している野の草花がオススメです。スミレ、パンジー、ツクシ、タンポポ、シロツメクサ、四つ葉のクローバーなどなど……。これらは、大きさ的にも難易度的にもオススメです。

 

スミレ(ビオラ)

スミレ(ビオラ)

 

金木犀やカモミール、カランコエ、ロベリアなどの小ぶりで可憐な花も、とてもきれいに仕上がります。

それでは作業工程です。

① 広げたティッシュ2枚の上に、草花をのせる。

② ①に残りのティッシュ2枚をかぶせる。

③ ②を紙の束ではさむ。

④ ③をビニール袋でくるんで空気をできるかぎり抜く。

⑤ ④をさらにビニール袋で二重にくるみできるかぎり空気を抜く。

⑥ ⑤に重石(2~5キロ分の雑誌など)をのせる。

以上になります。花の種類にもよりますが、上記の草花でしたら、およそ1週間から10日前後で押し花の完成です。

④と⑤のビニール袋には、「せっかく紙の束で水分を吸い取っているのだから、外気の湿気に触れないようにしておこう」という役割があります。大事なポイントとして、できるだけ空気を抜くようにしましょう。空気がいっぱい入っていると、重石の重みがうまく伝わらず、花が縮んでしまいます。また、袋の口は特に止めなくても、折り返した上に重石を載せることで外気の侵入を防ぐことができます。二重にくるむときの袋の口の向きを逆にしておけば、さらに万全です。

最後にもっとも大切なことを。押し花加工中の、水分が抜け切る前の草花には絶対に触らないでくださいね。非常にデリケートで、些細な衝撃で傷がついたり撚れて変形してしまったりします。仕上がりが気になっても、最低1週間は、袋から出したり乾燥具合をチェックしたりしないようにしましょう。

あまりに水分が抜けない場合や少しでも早く仕上げたい場合には、挟み込んでいる紙の束を交換することが必要になりますが、これは作業に慣れてから挑戦するほうがよさそうです。きれいに仕上がるといいですね!

押し花作りに必要な道具とは?

さて、今回はいよいよ「道具」のお話。

ここまでで、押し花を作るためには「水分を抜く作業」と「重みを掛ける作業」が必要になるとお伝えしました。つまり押し花づくりの作業内容を簡単に説明すれば、①乾かしながら②重みを掛ける、の2点になります。

これを可能にする道具が「乾いた」「分厚い」紙の束です。「乾いた紙」が生花の水分を吸い取り、「分厚さ」が生花がつぶれるのを防ぐ役割を果たします。いくら重みを掛けると言っても、生花に一気に重石をのせてしまっては、ただつぶして傷めてしまうだけ。そこで、じっくりじわじわと重みを伝えながら水分を抜き取る必要があるのです。

そんな押し花づくりにぴったりなスーパーアイテムがあります。「古い電話帳」です。幼いころに、道ばたの花や葉をこの「電話帳」に挟んで押し花にした方も多いことでしょう。吸水性の高い分厚い紙の束が、抜群のクッションになってくれます。

とはいえ、別に「電話帳」でなくても構いません。

「辞書」も分厚い紙の束という点では最適なのですが、草花の液がついてしまって今後の使用に差し障る可能性があります。

 

英字新聞と押し花

英字新聞と押し花

 

ですから例えば「新聞紙」の束でもいいですし、読み終わった後の「週刊・月刊マンガ雑誌」などでもバッチリです。要はコーティングなどが施されていない、水分を吸いやすい紙が束で必要になるのです。

それでは、押し花づくりに使う基本の道具をまとめましょう。

①水分を吸いやすい紙の束(「電話帳」「新聞紙」「マンガ雑誌」など」)

②草花を保護するティッシュ4枚

③重石に使う本など(2~5キログラム)

④水分を通しにくい大きめの袋2つ

以上です。

押し花を作るための専用の道具「乾燥マット」なども市販されていますから、余裕があれば紙の束の代わりにご用意いただいてもいいですね。仕上がりの美しさが抜群によくなります。

それでは次回、いよいよプレス工程のご紹介です。

押し花の特徴② 「押し花は薄く平面状に仕上がっている」

さて、前回、押し花の特徴の一つとして「乾いている」ことを挙げ、詳しくご紹介いたしました。今回は二つ目の特徴に目を向けてみましょう。

もう一つの押し花の特徴、それは「薄くて平面状であること」が挙げられます。

前回、押し花づくりには「水分を抜く作業」が必要になるとまとめました。ところが水分を抜くと、物には「縮む」という性質があります。「干し大根」然り、「うっかり洗ってしまったセーター」然り。程度の差はあれど、乾燥の際に「縮む」という過程は避けられないものなのです。

この縮みを防ぐために、押し花は「押す」つまり「本などに挟んで重しをかけて」作ります。

 

クローバーの押し花

クローバーの押し花

 

重みが加えられるために縮むことが許されず、結果として薄く平面状に仕上がるのです。その薄さは、もとの花の種類にもよりますが、0.5ミリから5ミリ程度が一般的でしょうか。

生花が3Dなら押し花は2D。ペラペラの、まるで紙に描かれた絵のような存在というわけです。実はここに、押し花の長期保存を可能にするもうひとつの理由が隠れています。

唐突ながら、同じように薄いポテトチップスを例にとって説明してみましょう。押し花もポテトチップスも、薄くて乾燥しているところは共通しています。どちらも非常に壊れやすく、扱いには十分な注意が必要です。

そんなポテトチップスですから、袋には空気がパンパンに入っていて、常に衝撃から守られています。もしも押し花が3Dであったなら、同じようにしてケースなどに入れ衝撃から守る必要があるでしょう。ところが押し花は平面状ですから、本などに挟んだり、台紙に貼り付けたりすることによって、破損を防ぎつつ非常にコンパクトに保存することができるのです。

薄くて平面状の押し花。押し花づくりに「押す工程」が必要になるわけが、おわかりいただけましたでしょうか。だから「押し花」って、いうんですね。

押し花の特徴①「押し花は乾燥している」

さて、さっそく押し花づくり……と意気込むその前に。はじめに、押し花とは何かを多角的に知っておきましょう。押し花ができる仕組みを理解しておくことで、各作業工程で大切なことは何かがきっと見えてくるはずです。そのためにまず、押し花の状態をじっくり観察してみることにします。

完成した押し花は「乾燥している」
押し花の大きな特徴のひとつとして、「乾燥していること」が挙げられます。乾燥が不十分な押し花は押し花とは呼べません。乾燥しきってこその「押し花」なのです。

これに対し、生花は生き物の当然の姿として水分をため込んでいます。だからこそ、水が切れれば萎れてしまうし、時には枯れ、時には腐ってしまうのです。水を必要とする生き物の生には必ず終わりがあるものなのですね。

そこで逆転の発想です。

生花から水を抜ききってしまうことで、花を不老不死に近い存在にしてしまう。花を乾燥させるという点では、ドライフラワーとも似ています。野菜や果物、あるいは魚や肉を乾燥させて長期間とっておくための「保存食」や、エジプトの「ミイラ」なども、似たような発想だと言えるでしょうか。

水分を抜くことによって、長く存在できるようになる。これが押し花の大きな特徴のひとつになります。

押し花を作る

つまり裏返せば、押し花づくりには「水分を抜く作業」が必要になる、ということ。次回、二つ目の特徴をご紹介いたしましょう。押し花づくりに必要な工程が見えてきますよ。

押し花づくりをしてみませんか?

世界は色で満ちています。

中でもひときわ色鮮やかにわたしたちの目を楽しませてくれるのは、四季折々の素朴で可憐な野の草花、あるいは花屋さんの店頭で美しく咲き誇る花たち。在り方の差こそあれど、いずれにしても、花は暮らしに彩りを添えてくれるステキな存在です。

草花

また過去を懐かしくふり返るとき、花はいつも身近にあるもの。ブーケに卓上花など文字通り花であふれる結婚式、そして誕生日に発表会、出産、進学、就職……。人生の大切な慶び事はもちろんのこと、大切な人とのお別れの場でも花は大切な役割を演じてくれます。誰にも、花にまつわる懐かしい思い出があることでしょう。

そんな愛すべき存在の花。しかしながら花は、時が経てばやがて傷つき、萎れ、枯れてしまうもの。記憶の中だけに残る存在になってしまいます。

花の姿を、何とかして残しておきたい……。そんなふうに感じたことはありませんか?

花の姿を残す方法の一つに、『押し花』があります。幼いころに、身近な草花を使って押し花や押し葉を作ったことがある方も、きっとおられることでしょう。押し花に加工をすると、花は記憶と共に、長い時を私たちと歩むことができるんです。ぜひ、押し花を作って楽しんでみませんか?

押し花の額装

押し花づくりの基礎や道具、豆知識などを、押し花づくりのインストラクター資格をもつ筆者がみなさまにお届けしてまいります。押し花づくりを通じて、みなさまの暮らしに花を添えるお手伝いができれば幸いです。どうぞよろしくお付き合いくださいませ。